グスコーブドリの伝記

ぐぬぬぬぬぬ!これは珍しく第一印象で納得がいかない! 寝不足でやや意識が確かでなかったことが原因なら申し訳ないけれど、納得がいかなかった点がいくつかあったように思える。
人さらい以上の扱いになっている人さらいは、「死神」のような解釈にでもなっているのだろうか。全体的に訳ありげな改変が施されてるけど、いち登場人物として見ればブドリとの関係がラストで唐突に変化したのが突っかかる。
「銀河ステーション」のアナウンスとともに、単なるスターシステムとは限らない様子で登場する『銀河鉄道の夜』のサブキャラクターたちなど、『銀河鉄道の夜』の世界観が直にでてきたのは予想外だった(箔付けかもしれんけど)。人さらいが裁こうとしていたブドリの「侵犯」の容疑もそれに関係してるのかしら。
「てぐす工場」が幻のように処理されていたのも意外だったな。作中でも特に夢想的な場面である工場の件を夢に隔離してしまうことで、物語を比較的現実的なことのみで構成する狙いだろうか。本来は火山噴火の伏線もあったりするのだが、夢オチにして大して意味がないようなシーンになってしまってて勿体ない。
よいところ。美術と背景は森のシーンも都市部も圧倒的で、幻の街の非現実感も素敵だった。『イノセンス』のスタッフだっけか? 前と比較されがちな音楽は艶やかで、かつブドリのひた向きさが醸し出されててよかった。 声も特に抵抗なく、重ねられる吐息や笑い声も作品の雰囲気を支えていた。
平和な暮らしと寒波と飢饉で衰退していくまでの描写も丁寧だった。ファンタジックなビジュアルにつられて見に来てる人たちがいそうで心配である。
話の流れもわりと明確で分かりやすい部類の原作を、そのまま映像化しないのはありだけど、改変の意図を感じられなかったのがこの不満の理由だろうか。
見落としたのでなければ、クーボー博士の煙の問答がなかったのが一番残念なんですけども。

追記

明確で分かりやすい部類だと「錯覚してしまう」原作の微妙なニュアンスを、幻想と現実を行ったりきたりさせることで表現したのか。
ともすれば原作を念頭に置かなかったり、二度目に見るときはまた違う印象になるかもしれない。